後継者不足とM&A市場の現状
こんにちは、名古屋市で税理士事務所を開業している税理士の鈴木宗矩と申します。
本日は、M&A市場の現状についてです。
<後継者不足とM&A市場の現状>
近年、経営者の高齢化が進み、後継者不足に悩む企業が増える中、M&A市場が活性化しています。
特に、後継者が見つからない企業にとって、M&Aは一つの有力な選択肢となっているためです。しかし、M&A件数が増加する一方で、トラブルも急増しており、その中でも「悪質な買い手」による問題が目立っています。
<悪質な買い手とは?>
M&Aのトラブルで多く見られるのが、経営者保証に関する問題です。通常のM&Aでは、会社の株式が売却される際、借入金に関する連帯保証も新たな経営者(買い手)へと引き継がれるものです。しかし、「悪質な買い手」は、連帯保証の解除をわざと先延ばしにし、その間に会社の資産を抜き取って失踪するケースがあります。
このような悪質な手口を使う買い手は少なくなく、さらには、M&A仲介会社が成功報酬を得るために無理な取引を進めることが、こうしたトラブルの背景にあることも指摘されています。
<M&A仲介協会の対応とその効果>
この状況を受け、M&A仲介協会は「悪質な買い手」をリスト化し、10月より会員間で情報を共有することを決定しました。これにより、悪質な買い手による被害を未然に防ぐことが期待されています。
しかし、専門家の間では、このリスト公開の効果について懐疑的な声も少なくありません。例えば、リストに載るのを避けるために関連会社を利用したり、新たに別会社を設立して取引を進めるといった、制度の抜け穴を利用するケースが発生する可能性が指摘されています。
<まとめ>
M&A市場の健全化を目指して、10月から「悪質な買い手」のリストが公開され、情報共有が開始されます。しかし、制度の抜け穴も考えられるため、引き続き効果的な予防策を検討していく必要があるでしょう。M&Aに関わるすべての関係者が、透明性と健全な取引を目指して行動することが必要ですね。
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